【2026年8月1日〜実務変更】育児休業等給付の申請手続きが変更──3つの給付金の実務ポイント

更新日:5 日前

出生時育休給付金の賃金申告・配偶者確認書類
・育児時短就業給付の簡素化を解説
2026年8月1日から、育児休業等給付の申請手続きが変わりました。
見直しの対象は、出生時育児休業給付金・出生後休業支援給付金・育児時短就業給付金の3つです。支給要件そのものの変更ではなく、申請時の記載情報や添付書類を簡素化し、企業と従業員双方の事務負担を軽減することが目的です。
特に出生時育児休業給付金は「賃金の申告対象」が変わり、申請のタイミングが早められるようになりました。本記事では、給付金ごとの変更点と実務のポイントを整理します。
📝この記事でわかること ● 出生時育児休業給付金──賃金申告の変更(申請の早期化) ● ケース別の賃金申告の考え方(本体育休へ続く場合・分割取得の場合) ● 出生後休業支援給付金──配偶者の確認書類が母子健康手帳の写しでOKに ● 育児時短就業給付金──5つの簡素化ポイント ● 実務担当者のための対応チェックリスト |
出生時育児休業給付金──賃金申告の変更
■制度のおさらい
出生時育児休業給付金は、子どもの出生後8週間以内に、4週間(28日)以内の期間を定めて出生時育児休業(産後パパ育休)を取得した場合に支給される給付金です(2回まで分割取得可)。
■何が変わったか──申告対象の賃金
区分 | 申告対象の賃金 |
変更前 | 出生時育児休業期間を対象として支払われた賃金(後日支払われる賃金を含むため、賃金額の確定を待つ必要があった) |
変更後(2026年8月1日〜) | 出生時育児休業期間中に「支払日」が到来した賃金 |
▶実務上のメリット 多くのケースで賃金額の確定を待つ必要がなくなり、出生時育児休業が終了した後、すぐに申請手続きを行えるようになりました。給付金の支給が早まることは、従業員の生活の安定にも直結します。 |
■ケース別の取扱い
ケース | 取扱い |
出生時育休の終了後、すぐに育児休業(本体育休)を取得 | 出生時育休期間を対象とした賃金でも、支払日が本体育休期間中であれば、本体育休の申請で申告する |
出生時育休を分割して取得 | 分割取得のあいだの就労期間に支払日のある賃金も、出生時育児休業給付金の申告対象に含める |
※「本体育休」とは:育児・介護休業法に基づく通常の育児休業(原則として子どもが1歳になるまで取得可能)を指します。出生時育児休業とは別の制度です。
出生後休業支援給付金──配偶者の確認書類の変更
■制度のおさらい
出生後休業支援給付金は、子どもの出生直後に原則として両親がともに14日以上の育児休業(または出生時育児休業)を取得した場合に、それぞれの給付金へ上乗せして最大28日間支給される給付金です。配偶者が無業者・自営業者・産後休業中などの場合は、配偶者の育児休業取得が要件とならないこともあります。
■何が変わったか──確認書類
区分 | 母親が申請する場合の配偶者確認書類 |
変更前 | 世帯全員について記載された住民票の写しなど |
変更後(2026年8月1日〜) | 母子健康手帳の写しで申請可能に |
これにより、確認書類の準備の手間や取得費用の負担軽減につながります。ただし、母子健康手帳の写しで確認できない場合は、これまでどおり住民票などの確認書類の提出を求められる場合があります。
育児時短就業給付金──5つの簡素化
■制度のおさらい
育児時短就業給付金は、2歳未満の子どもを養育するために週の所定労働時間を短縮して就業した場合、一定要件を満たすことで支給される給付金です。2026年8月1日から、以下の5つの見直しが行われました。
No. | 見直し内容 | 実務上のメリット |
① | 同一の子どもについてすでに育児休業給付を受給している場合、母子健康手帳の写しなどの再提出が不要に | 添付書類の削減 |
② | 育休開始から時短開始までのあいだに賃金の支払いがないことを確認できれば、賃金証明書の⑨〜⑪欄(育休開始前の賃金支払状況)の記入を省略可能に | 記載事項の削減 |
③ | フレックスタイム制・変形労働時間制・シフト制の週所定労働時間の計算方法を一部見直し。シフト制は集計対象が過去6か月分→過去3か月分に短縮 | 集計負担の軽減 |
④ | 「育児時短就業期間等に係る証明書」の様式が改訂され、出勤簿・タイムカード・労働条件通知書などの代替書類として提出可能に | 添付書類の削減 |
⑤ | 「照合省略対象事業主等」は、時短前後の週所定労働時間の確認書類についても照合省略が可能に | 添付書類の削減 |
▶補助ツール
厚生労働省は、週所定労働時間の計算に使える「週所定労働時間算定補助シート」(Excel)を公表しています。2026年8月1日以降の申請に対応しているため、フレックス・変形労働・シフト制の従業員の申請時に活用できます。
なお、出生時育児休業(産後パパ育休)や育児休業など、給付の前提となる両立支援制度の全体像は「育児と仕事の両立支援、企業にはどんな制度が必要?」で、子どもの年齢別に利用できる制度を一覧解説しています。
実務担当者のための対応チェックリスト
✓ 出生時育児休業給付金の賃金申告が「期間中に支払日が到来した賃金」に変わったことを担当者間で共有したか
✓ 出生時育休→本体育休と連続するケースの申告先(支払日ベースで判断)を理解したか
✓ 分割取得のあいだの就労期間に支払日のある賃金の取扱いを理解したか
✓ 出生後休業支援給付金の申請で、母子健康手帳の写しを活用する運用に切り替えたか
✓ 育児時短就業給付金の賃金証明書で、⑨〜⑪欄の省略可否を確認するフローを整えたか
✓ フレックス・変形労働・シフト制の従業員について、週所定労働時間算定補助シートを準備したか
✓ 改訂後の「育児時短就業期間等に係る証明書」の様式を入手したか
✓ 申請書式・社内マニュアルを2026年8月1日以降の取扱いに更新したか
まとめ
2026年8月1日からの見直しは、支給要件の変更ではなく、申請手続きの簡素化・早期化が目的です。特に出生時育児休業給付金は「賃金の申告対象」の考え方が変わったため、給与の締日・支払日と休業期間の関係を正しく整理して申告することが重要です。
手続きの簡素化は労務担当者にとって大きなメリットです。変更点を正しく把握し、社内の申請フローや書式を更新しておきましょう。
手続きの詳細や様式は「育児休業等給付コールセンター(0570-200-406)」への相談もおすすめです。申請代行や社内フローの整備は、社会保険労務士へお気軽にご相談ください。
2026年に施行される労務関連の改正は、ほかにも複数あります。施行月別の一覧は「【2026年】労務の法改正まとめ──施行月別に企業の対応をチェック」でご確認いただけます。
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