【法改正対応】2026年4月、給与から新たに天引きされる「支援金」とは?
- 大澤労務管理事務所
- 4月10日
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更新日:5月12日

2026年4月から、従業員の給与・賞与に新たな控除項目が加わります。
「子ども・子育て支援金制度」の開始により、医療保険料とあわせて支援金が徴収されるようになりました。これは企業と従業員が折半で負担する新しい仕組みです。
給与計算システムの設定変更、給与明細の表示対応、従業員への説明──経営者として押さえるべきポイントは少なくありません。
本記事では、制度の全体像から実務対応まで、経営者目線で整理します。
1. 子ども・子育て支援金制度とは
少子化と人口減少が急速に進む日本では、2030年代に入ると結婚や出産を考える若年人口がさらに急減すると見込まれています。こうした状況に歯止めをかけるため、子育て支援策の抜本的な拡充を目的として創設されたのが「子ども・子育て支援金制度」です。
この制度では、児童手当の拡充や妊婦のための支援給付など、子育て世帯への切れ目のない支援を実現するための財源を、全世代・全企業で負担します。財源の使途は「子ども・子育て支援法」で厳格に定められており、定められた用途以外に使うことはできません。
支援金の主な使途
児童手当の拡充(第3子以降の増額、高校生への支給拡大など)
妊婦のための支援給付の創設
こども誰でも通園制度の創設
出産・子育て応援交付金の制度化
育児休業給付の充実
既存の「拠出金制度」との違い
名称が似ている「子ども・子育て拠出金制度」とは、負担者や性質が異なります。混同しやすいため、以下で整理しておきましょう。
項目 | 子ども・子育て拠出金制度 (既存) | 子ども・子育て支援金制度(新設) |
開始時期 | 既存制度 | 2026年4月〜 |
徴収経路 | 厚生年金保険料とあわせて徴収 | 医療保険料(健康保険料)とあわせて徴収 |
負担者 | 企業が全額負担 | 企業と従業員が折半 |
給与からの控除 | なし(企業のみ負担) | あり(従業員負担分を控除) |
主な用途 | 児童手当等の財源 | 子育て支援策の抜本拡充(児童手当拡充、妊婦支援等) |
【経営者が押さえるべきポイント】 新設の支援金制度は「従業員からも控除される」点が最大の変更点です。拠出金制度(企業全額負担)とは異なり、給与計算に直接影響するため、システム対応と従業員への説明が必要になります。 |
2. 支援金額の計算方法と負担額の目安
計算方法
健康保険に加入している従業員の支援金額は、以下の計算式で算出します。
支援金額(月額)= 標準報酬月額 × 支援金率(0.23%) 支援金額(賞与)= 標準賞与額 × 支援金率(0.23%) ※企業と従業員が折半(各0.115%) |
2026年度の支援金率0.23%は国が一律に定めたもので、毎年の賃金水準や加入者数の実績に基づき見直されます。
年収別の負担額目安(2026年度・従業員1人あたり月額)
年収 | 支援金額(月額合計) | うち従業員負担 | うち企業負担 |
200万円 | 約300円 | 約150円 | 約150円 |
400万円 | 約650円 | 約325円 | 約325円 |
600万円 | 約1,000円 | 約500円 | 約500円 |
800万円 | 約1,350円 | 約675円 | 約675円 |
1,000万円 | 約1,650円 | 約825円 | 約825円 |
今後の支援金率の見通し
国が医療保険者から徴収する支援納付金の総額は、2026年度から2028年度にかけて段階的に増額される計画です。支援金率は毎年見直されるため、企業のコスト試算も定期的なアップデートが必要です。
年度 | 支援納付金総額(見込み) | 被保険者1人あたり月額目安 |
2026年度 | 約6,000億円 | 約250円〜850円程度 |
2027年度 | 約8,000億円 | 段階的に増加見込み |
2028年度 | 約1兆円 | 段階的に増加見込み |
※上記の試算はあくまで見込みの平均金額です。今後の賃金水準の変化や従業員の年収によって、実際の支援金額とは異なる場合があります。
3. 納付の流れと実務対応チェックリスト
支援金は健康保険料(介護保険料含む)と合算して医療保険者へ納付します。企業は従業員負担分を給与・賞与から控除し、企業負担分とあわせて納付する形です。
徴収開始スケジュール
対象月 | 給与控除 | 納付 |
2026年4月分〜 | 2026年4月支給の給与から 控除開始 | 2026年5月に納付開始 |
実務対応チェックリスト
以下の項目が対応済みか、社内で確認しましょう。
✓ 給与計算システムに支援金率(0.23%)を設定済みか
✓ 賞与計算にも支援金の控除設定を反映したか
✓ 給与明細書に支援金の控除額を表示する対応をしたか
(※法的義務ではないが、こども家庭庁が協力を求めている)
✓ WEB明細を導入している場合、システム設定の確認は済んでいるか
✓ 産前産後休業・育児休業中の従業員について、支援金の免除処理を確認したか
✓ 従業員に対して制度の趣旨・控除開始について説明を行ったか
✓ 納入告知書に「支援金額」が新たに記載されることを経理担当と共有したか
【給与明細への記載について】 給与明細書に健康保険料の内訳として支援金額を記載することは法令上の義務ではありません。ただし、こども家庭庁は制度の趣旨を踏まえた記載への協力を求めています。従業員への透明性の観点からも、対応を検討することをおすすめします。 |
4. 経営者が押さえておきたいポイント
コスト影響を正しく把握する
支援金は企業と従業員の折半負担です。自社の従業員数と標準報酬月額の分布から、年間の追加コストを試算しておくことをおすすめします。2028年度には支援納付金総額が約1兆円規模に拡大する計画であるため、中期的なコスト見通しを持っておくことが重要です。
従業員への丁寧な説明
「なぜ給与の手取りが減るのか」は従業員の関心が高い事項です。制度の趣旨(社会全体で子育てを支える仕組みであること)と、具体的な控除額をわかりやすく伝えることで、不安や不満を最小限に抑えることができます。
給与計算体制の確認
支援金率は毎年見直される可能性があるため、給与計算システムの料率変更に迅速に対応できる体制が求められます。自社で対応が難しい場合は、社会保険労務士など外部専門家への相談も有効な選択肢です。
まとめ
2026年4月開始の「子ども・子育て支援金制度」は、企業の給与計算に直接影響する法改正です。支援金率0.23%(労使折半)による控除が新たに発生するため、給与計算システムの設定変更、従業員への説明、納付フローの確認を速やかに行う必要があります。
支援金率は2028年度にかけて段階的に引き上げられる見通しであり、中長期的なコスト管理の視点も欠かせません。制度の趣旨を正しく理解し、社内体制を整備していきましょう。
新たな控除項目への対応に少しでも不安がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
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