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【2026年】労務の法改正まとめ|施行月別に企業の対応をチェック

執筆者の写真: 大澤彩人
大澤彩人
10月9日
読了時間: 13分

更新日:3 日前

2026年労務の法改正まとめの告知画像。スーツの女性がPC前で考え、4月・7月・8月・10月の改正一覧と「この記事を読む」ボタンがある。


4月・7月・8月・10月の改正を一覧で整理。

自社に関係する改正がすぐわかります!


2026年は、労務管理に関わる法改正が特に多い年です。

4月には雇用保険料率の変更や女性活躍推進法の改正、7月には障害者の法定雇用率の引き上げ、10月にはカスタマーハラスメント対策の義務化と同一労働同一賃金の改正が控えています。

中でも、従業員数にかかわらずすべての企業に影響するのが「カスハラ対策の義務化」と「労働条件通知書の明示事項の追加」です。どちらも2026年10月1日施行で、対応を怠れば過料や行政指導の対象となります。

本記事では、2026年の労務関連の改正を施行月別に整理し、それぞれの詳しい解説記事への入口としてまとめました。自社に関係する改正を確認するチェックリストとしてご活用ください。


この記事の使い方

●    まずは「全体マップ」で自社に関係する改正を確認

●    気になる改正は、各セクションの概要を読む

●    詳しく知りたい改正は、リンク先の個別記事へ

●    最後の「施行月別チェックリスト」で対応漏れを確認





2026年 労務関連改正の全体マップ


まず、2026年に施行される主な改正を時系列で確認しましょう。



■2026年4月施行

改正内容

対象

区分

雇用保険料率の引き下げ(0.1%)

全企業

義務

子ども・子育て支援金の徴収開始

全企業(給与控除)

義務

女性活躍推進法の改正(男女賃金差異等の公表義務拡大)

101人以上の企業

義務

治療と仕事の両立支援の環境整備

全企業

努力義務

高年齢者の労働災害防止のための指針の適用

全企業

努力義務

協会けんぽの健診制度の変更

協会けんぽ加入企業

─

社会保険の被扶養者認定の新ルール(労働契約ベース)

全企業

義務

自転車の青切符制度の導入

全企業(通勤・業務使用)

安全教育

食事の現物給与の価額改定

現物支給のある企業

義務



■2026年7月施行

改正内容

対象

区分

障害者の法定雇用率が2.5%→2.7%に引き上げ

37.5人以上の企業

義務



■2026年8月の実務変更

改正内容

対象

区分

育児休業等給付の申請手続きの見直し(3つの給付金)

育休取得者がいる企業

実務変更

産業医の辞任・解任・退任時の報告義務化

50人以上の事業場

義務



■2026年10月施行

改正内容

対象

区分

カスタマーハラスメント対策の義務化

全企業

義務

求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策の義務化

全企業

義務

パート有期法施行規則の改正(労働条件通知書の明示事項追加)

パート・有期雇用がいる全企業

義務

(過料あり)

同一労働同一賃金ガイドライン・雇用管理指針の改正

パート・有期雇用がいる全企業

義務

+推奨

派遣労働者の同一労働同一賃金の改正

派遣元・派遣先企業

義務

+配慮

社会保険の適用拡大(短時間労働者の賃金要件の撤廃予定)

特定適用事業所等

義務



■年度内に毎年対応が必要なもの

手続き

時期

労働保険の年度更新

6月1日〜7月10日

社会保険の定時決定(算定基礎届)

7月1日〜7月10日

最低賃金の改定対応

10月前後(都道府県ごとに発効日が異なる)




2026年4月施行の改正


① 雇用保険料率の引き下げ

令和8年度(2026年4月〜2027年3月)の雇用保険料率が、前年度から0.1%引き下げられました。給与計算システムの料率設定の変更が必要です。




② 子ども・子育て支援金の徴収開始

2026年4月から、給与・賞与に新たな控除項目が追加されました。支援金率は0.23%で、健康保険料と併せて徴収されます。従業員への説明も必要です。




③ 女性活躍推進法の改正

男女の賃金差異・女性管理職比率の公表義務が、常時雇用労働者101人以上の企業に拡大されました。あわせて「えるぼしプラス」認定が新設され、女性の健康課題への支援が評価対象となっています。




④ 治療と仕事の両立支援(努力義務)

がんや難病などの治療をしながら働く従業員への支援が、企業の努力義務として明確化されました。通院しながら働く人は就業者の約4割にのぼります。




⑤ 高年齢者の労働災害防止(努力義務)

「高年齢者の労働災害防止のための指針」が適用され、従来の行政上の推奨事項から、労働安全衛生法に基づく努力義務へと位置づけが変わりました。60歳以上の労災発生率は全年齢平均の約1.5倍です。


▶ 詳しくはこちら

高年齢者の労災防止が「努力義務」に──企業に求められる5つの対策



⑥ 協会けんぽの健診制度の変更

人間ドック補助の新設、対象年齢の拡大、骨粗しょう症検診の導入など、協会けんぽの健診制度が変更されました。




⑦ 社会保険の被扶養者認定の新ルール

被扶養者の収入要件の判定が、実績ベースから労働契約ベースへと見直されました。扶養認定の手続きで確認すべき内容が変わっています。




⑧ 自転車の青切符制度

自転車の交通違反に反則金制度(青切符)が導入されました。ながらスマホは反則金12,000円です。自転車通勤を認めている企業は、安全教育・通勤規程・賠償保険の3点を整備しましょう。





2026年7月施行の改正


①障害者の法定雇用率が2.7%へ

障害者の法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられました。これに伴い、対象となる企業の規模も従業員40人以上から37.5人以上へと拡大しています。該当する企業は、障害者雇用状況の報告義務や納付金制度の対象にもなります。





2026年8月の実務変更


① 育児休業等給付の申請手続きの見直し

出生時育児休業給付金・出生後休業支援給付金・育児時短就業給付金の3つについて、申請手続きが簡素化されました。特に出生時育児休業給付金は賃金の申告対象が変わり、申請の早期化が可能になっています。




② 産業医の辞任等に関する報告義務化

産業医の辞任・解任・退任があった場合、所轄労働基準監督署長への報告が義務化されました。従業員50人以上の事業場が対象です。





2026年10月施行の改正──最重要

【10月1日は改正が集中します】

カスハラ対策の義務化、求職者等へのセクハラ対策の義務化、パート・有期雇用の労働条件通知書の明示事項追加、派遣労働者の同一労働同一賃金──これらがすべて同日施行です。準備には時間がかかるため、早めの着手が不可欠です。


① カスタマーハラスメント対策の義務化

顧客等からの著しい迷惑行為から従業員を守るための措置が、すべての企業に義務付けられます。方針の明確化と周知、相談体制の整備、対応マニュアルの作成などが必要です。同日から「求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策」も義務化されます。




② 同一労働同一賃金の改正(パート・有期雇用)

パート有期法施行規則の改正により、労働条件通知書等に「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる旨」を明示することが義務化されます。対応を怠ると10万円以下の過料のおそれがあります。あわせて、ガイドラインと雇用管理指針も改正されます。




③ 同一労働同一賃金の改正(派遣労働者)

派遣元企業の説明義務の強化に加え、派遣先企業にも情報提供の協力義務、福利厚生施設(駐車場を含む)の利用配慮、派遣料金の交渉への適切な対応が求められます。派遣を受け入れている企業にも対応が必要です。




④ 社会保険の適用拡大

短時間労働者の社会保険加入要件のうち、賃金月額88,000円以上という要件の撤廃が予定されています。該当する従業員が増える可能性があるため、自社の短時間労働者の勤務実態を確認しておきましょう。





2026年度に対応が必要な定例手続き


① 労働保険の年度更新(6月1日〜7月10日)

2026年度は、雇用保険料率の引き下げに加え、電子申請義務企業への紙の申告書の廃止という変更がありました。確定保険料は旧料率、概算保険料は新料率で計算する点に注意が必要です。




② 社会保険の定時決定(7月1日〜7月10日)

4〜6月の賃金をもとに標準報酬月額を見直す毎年の手続きです。支払基礎日数のカウント方法や、短時間就労者・短時間労働者の判定基準に注意が必要です。




③ 最低賃金の改定(10月前後)

2026年度の最低賃金は全国加重平均で1,177円、前年度から56円の引き上げとなりました。発効日は都道府県ごとに異なるため、自社の事業場所在地の公示を確認してください。





2025年施行で、2026年も対応が続くもの

制度

施行時期

2026年の対応ポイント

育児・介護休業法の改正

2025年4月・10月

柔軟な働き方の措置(5つから2つ以上)の導入と、個別周知・意向確認の運用

職場の熱中症対策の義務化

2025年6月

報告体制の整備と手順の作成。毎年の暑熱順化の取り組み

教育訓練休暇給付金の創設

2025年10月

就業規則への規定がなければ従業員は制度を使えない

マイナ保険証への完全移行

2025年12月

2026年3月末で暫定措置が終了済み。資格確認書の運用





施行月別・対応チェックリスト


4月施行分(対応済みか確認)

✓    雇用保険料率を新料率に更新したか(給与計算システムの設定)

✓    子ども・子育て支援金の控除が給与明細に正しく反映されているか

✓    101人以上の企業:男女賃金差異・女性管理職比率の公表準備を進めているか

✓    治療と仕事の両立支援の環境整備(相談窓口・休暇制度)を検討したか

✓    高年齢者の労災防止対策(リスクアセスメント・職場環境改善)に着手したか

✓    被扶養者認定の新ルール(労働契約ベース)を扶養手続きに反映したか



7月施行分

✓    自社の従業員数が37.5人以上か確認したか

✓    該当する場合、障害者雇用率2.7%を満たしているか



8月実務変更分

✓    育児休業等給付の申請書式・社内フローを更新したか

✓    50人以上の事業場:産業医の辞任等報告の手順を把握したか



10月施行分(最優先)

✓    カスハラ対策の方針を策定し、周知の準備をしているか

✓    カスハラの相談窓口と対応マニュアルを整備したか

✓    求職者等へのセクハラ対策(採用面接時の対応等)を検討したか

✓    労働条件通知書に「待遇差の説明を求めることができる旨」を追加したか

✓    パート・有期雇用との待遇差について、説明できる根拠を整理したか

✓    派遣を受け入れている場合、福利厚生・情報提供の体制を確認したか

✓    短時間労働者の社会保険適用拡大の影響を試算したか



通年

✓    最低賃金の改定に対応したか(自社所在地の発効日・金額)

✓    就業規則の改定が必要な項目を洗い出したか




まとめ


2026年は、4月・7月・8月・10月と年間を通じて労務関連の改正が続く年です。中でも10月1日は、カスハラ対策の義務化と同一労働同一賃金の改正が重なる最重要の節目となります。

多くの改正は就業規則や社内規程の改定、労働条件通知書の書式変更を伴います。施行日直前の対応では間に合わないケースもあるため、本記事のチェックリストで自社に関係する改正を洗い出し、計画的に準備を進めてください。

「どの改正が自社に関係するかわからない」「就業規則の改定が追いついていない」といった場合は、社会保険労務士にご相談ください。




よくある質問


Q. 小規模な会社ですが、2026年の改正で必ず対応が必要なものはありますか?

A. 従業員数にかかわらず対応が必要な改正があります。代表的なのは、2026年10月施行の「カスタマーハラスメント対策の義務化」と、パート・アルバイトを雇用している場合の「労働条件通知書の明示事項の追加」です。後者は対応を怠ると10万円以下の過料のおそれがあります。また、雇用保険料率の変更や最低賃金の改定も全企業が対象です。



Q. 努力義務の改正は、対応しなくても罰則はありませんか?

A. 努力義務に直接の罰則はありませんが、労働基準監督署の指導・勧告の根拠にはなります。たとえば高年齢者の労災防止は、従来の行政上の推奨事項から労働安全衛生法に基づく努力義務へと位置づけが変わり、臨検の際に対応状況が問われる可能性があります。また、実際に労災や紛争が起きた際、安全配慮義務違反の判断材料になることもあります。



Q. 就業規則の改定が必要な改正はどれですか?

A. 2026年の改正では、カスハラ対策(相談体制・対応方針)、育児・介護休業法の柔軟な働き方の措置、教育訓練休暇制度などが就業規則の規定と関わります。また、最低賃金の改定で賃金規程の見直しが必要になる場合もあります。改定の際は従業員代表の意見聴取と労働基準監督署への届出(10人以上の事業場)を忘れずに行ってください。



Q. 2026年10月の改正は、いつから準備を始めるべきですか?

A. 方針の策定、相談体制の整備、マニュアル作成、従業員研修と、やるべきことが多いため、施行の数か月前から着手するのが理想です。特に労働条件通知書の書式変更は、契約更新のタイミングと重なると急ぎの対応になります。すでに施行日が近い場合は、まず義務であり過料のある「労働条件通知書の明示事項追加」から優先的に対応してください。



Q. 改正の情報はどこで確認できますか?

A. 厚生労働省のサイトで各改正のリーフレットやQ&Aが公開されています。ただし、自社にどう当てはまるかの判断は個別の事情によって異なります。判断に迷う場合は、都道府県労働局や労働基準監督署の相談窓口、または社会保険労務士にご相談ください。




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この記事の監修者

大澤 直樹(特定社会保険労務士・AFP)


大澤労務管理事務所 代表。埼玉県川越市を拠点に、給与計算代行、就業規則の作成・改定、社会保険・労働保険の手続き、労務相談まで、中小企業の労務管理を幅広く支援しています。「めんどくさい」をまるっとサポートすることをモットーに、起業初期から成長期の企業に寄り添った実務支援を行っています。



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