【2026年度版】社会保険の定時決定(算定基礎届)とは? 届出方法と計算のポイント
- 大澤労務管理事務所
- 6月12日
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\届出期限7/10/
対象者・支払基礎日数・報酬の範囲・ケース別計算方法まで解説
届出期限は7月10日(金)。届出期間はわずか10日間です。
社会保険の定時決定(算定基礎届)は、毎年4〜6月に支払った賃金をもとに、9月から適用する新しい標準報酬月額を届け出る手続きです。届出期間は7月1日〜7月10日と非常に短いため、6月の賃金確定後すぐに準備を始める必要があります。
本記事では、対象者の判定、支払基礎日数のカウント方法、報酬に含めるもの・含めないもの、ケース別の計算方法まで、実務に必要な情報を体系的に整理します。
この記事でわかること ● 定時決定の仕組みと届出の基本情報 ● 対象者と対象外の判定 ● 4・5・6月の賃金台帳と出勤簿の準備(締日・支払日別) ● 支払基礎日数のカウント方法(月給制 vs 時給制) ● 報酬に含める賃金・含めない賃金 ● ケース別の計算方法(一般・短時間就労者・短時間労働者・途中入社) ● 届出のチェックリスト |
1. 定時決定とは──毎年の標準報酬月額の見直し
【仕組みの概要】
昇給などで賃金が変動すると、実際の賃金と標準報酬月額の間にズレが生じます。このズレを年1回是正するのが定時決定です。
項目 | 内容 |
届出様式 | 健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届 |
届出期間 | 7月1日(水)〜 7月10日(金) |
届出先 | 事務センター または 管轄の年金事務所 |
届出方法 | 電子申請、電子媒体(CD・DVD)、郵送、窓口持参 |
添付書類 | なし |
対象月 | 4月・5月・6月に支払った賃金 |
新しい標準報酬月額の適用期間 | 9月〜翌年8月(随時改定がない限り) |
なお、同じ7月10日が届出期限の手続きとして「労働保険の年度更新」があります。詳しくは「【2026年度】労働保険の年度更新とは? やり方と変更点を解説」をご覧ください。
2. 対象者と対象外の判定
区分 | 対象/対象外 | 備考 |
7月1日時点で在籍している被保険者 | 対象 | ─ |
70歳以上被用者 | 対象 | ─ |
6月1日〜7月1日に資格取得した人 | 対象外 | 資格取得時の標準報酬月額が適用される |
7月に随時改定が予定されている人 | 対象外 | 随時改定を優先 |
8月または9月に随時改定が予定されている人 | 対象(届出は必要) | 算定基礎届は提出するが、随時改定が優先適用される |
【8月・9月の随時改定予定者に注意】 8月または9月に随時改定が予定されている人も、算定基礎届の届出自体は必要です。届出後に随時改定が確定すれば、そちらの標準報酬月額が優先適用されます。 |
3. 準備する書類──締日・支払日別の対象期間
定時決定は「支給月」ベースです。実際に4・5・6月に賃金を支払った月の賃金台帳と出勤簿を準備します。
パターン | 賃金台帳 | 出勤簿 |
20日締め/当月末日払い | 4/20締め4/30支払分、5/20締め5/31支払分、6/20締め6/30支払分 | 3/21〜4/20、4/21〜5/20、5/21〜6/20 |
末日締め/翌月15日払い | 3/31締め4/15支払分、4/30締め5/15支払分、5/31締め6/15支払分 | 3/1〜3/31、4/1〜4/30、5/1〜5/31 |
4. 支払基礎日数のカウント方法
支払基礎日数とは、賃金の支払対象となる日数のことです。給与形態によってカウント方法が異なる点が最大の注意点です。
給与形態 | 支払基礎日数の基準 | 具体的なカウント方法 |
月給制・週給制 | 暦日数 | 公休日・有給休暇・会社都合の休業日も含む。欠勤控除がある場合は所定労働日数から欠勤日数を差し引く |
時給制・日給制 | 実際の出勤日数 | 有給休暇・休日出勤日・会社都合の休業日も含む |
▶判定基準の整理
報酬月額の計算に含めるのは、支払基礎日数が一定以上の月のみです。雇用形態によって基準が異なります。
雇用形態 | 支払基礎日数の基準 |
一般の被保険者 | 17日以上 |
短時間就労者(パート等・4/3以上勤務) | 17日以上(17日未満の月しかない場合は15〜16日でも可) |
短時間労働者(特定適用事業所等) | 11日以上 |
5. 報酬に含める賃金・含めない賃金
区分 | 具体例 |
含める | 基本給、残業手当、通勤手当、扶養手当、住宅手当、役職手当、精皆勤手当、通勤定期券、食事の現物支給、住宅の現物支給 等 |
含めない | 年3回以下の賞与、臨時に受けるもの(大入袋等)、退職金、慶弔見舞金、出張旅費(実費弁償)、傷病手当金、休業補償費 等 |
【2026年4月から食事の現物給与の価額が改正】 食事を現物支給している企業は、2026年4月1日から適用される改正後の価額で報酬月額を計算してください。 |
6. ケース別の標準報酬月額の算出方法
ケース① 一般的な被保険者
パターン | 計算方法 |
4・5・6月すべて17日以上 | 3か月の報酬総額 ÷ 3 |
17日未満の月がある | 17日以上の月のみの報酬総額 ÷ 17日以上の月数 |
すべて17日未満 | 従前の標準報酬月額を適用(備考欄に理由を記載) |
ケース② 短時間就労者(パート・アルバイト等)
短時間就労者とは、週の所定労働時間および月の所定労働日数が正社員の4分の3以上の被保険者です。算定基礎届の備考欄「7.パート」に○を記入します。
パターン | 計算方法 |
17日以上の月が1か月以上ある | 17日以上の月のみの報酬総額 ÷ 17日以上の月数 |
すべて17日未満だが15日又は16日の月がある | 15〜16日の月の報酬総額 ÷ 該当月数 |
すべて15日未満 | 従前の標準報酬月額を適用(備考欄に理由を記載) |
ケース③ 短時間労働者(特定適用事業所等)
特定適用事業所(厚生年金保険の被保険者数51人以上)で、週20時間以上勤務かつ月額賃金88,000円以上等の要件を満たす被保険者です。算定基礎届の備考欄「6.短時間労働者」に○を記入します。
パターン | 計算方法 |
4・5・6月すべて11日以上 | 3か月の報酬総額 ÷ 3 |
11日以上の月が1か月以上ある | 11日以上の月のみの報酬総額 ÷ 11日以上の月数 |
すべて11日未満 | 従前の標準報酬月額を適用(備考欄に理由を記載) |
※ 賃金月額88,000円の要件は2026年10月に撤廃が予定されています。
ケース④ 賃金計算期間の途中に入社したとき
4月途中入社などで、入社月の給与が1か月分に満たない場合は、その月を算定対象から除外し、1か月分の給与が確保されている月のみで計算します(修正平均)。算定基礎届の備考欄に修正平均の内容を必ず記載してください。
計算例:20日締め・当月末日払いの企業に5月1日入社 → 4月分はなし、5月分は日割(1か月未満)、6月分は満額 → 6月分のみの報酬で報酬月額を算出(修正平均) |
なお、標準報酬月額の仕組みや同月中の資格取得・喪失に関する保険料の取扱いについては「社会保険の「同月得喪」と「同日得喪」とは? 違いと実務対応」で詳しく解説しています。
7. 届出の実務
日本年金機構から6月中旬以降に届く茶色の封筒に、算定基礎届の用紙と被保険者一覧が同封されています。
【届出のサポートツール】
ツール・サービス | 内容 |
算定基礎届事務説明動画 | 日本年金機構が公開する手続き解説動画(毎年更新) |
オンライン事業所年金情報サービス | 被保険者データ等をオンラインで受け取れるサービス(届出の効率化に有効) |
算定基礎届の記入・提出ガイドブック | 記入方法の詳細な解説と記入例(PDF) |
定時決定の届出チェックリスト
✓ 4月・5月・6月の賃金台帳と出勤簿を準備したか
✓ 7月1日時点で在籍している被保険者の一覧を作成したか
✓ 6月1日〜7月1日に資格取得した人を対象から除外したか
✓ 7月随時改定が予定されている人を対象から除外したか(8月・9月の随時改定予定者は届出が必要)
✓ 各月の支払基礎日数を正しくカウントしたか(月給制=暦日数、時給制=出勤日数)
✓ 短時間就労者・短時間労働者の支払基礎日数の判定基準を確認したか
✓ 報酬に含める賃金・含めない賃金を正しく判定したか(通勤手当は含む、賞与は含めない等)
✓ 食事の現物支給がある場合、改正後の価額で計算したか
✓ すべて17日未満(短時間労働者は11日未満)の場合、備考欄に理由を記載したか
✓ 7月10日(金)の届出期限に間に合うスケジュールを確保しているか
まとめ
定時決定(算定基礎届)は、標準報酬月額を年1回見直す重要な手続きです。届出期間は7月1日〜7月10日のわずか10日間と短いため、6月の賃金が確定したら速やかに準備を開始してください。
特に注意すべきは、「支払基礎日数のカウント方法が給与形態で異なること」「短時間就労者と短時間労働者で判定基準が違うこと」「報酬に含める賃金の範囲」の3点です。日本年金機構のガイドブックや解説動画を活用しながら、正確な届出を行いましょう。
算定基礎届の作成や届出に不安がある場合は、社会保険労務士への相談・代行依頼をおすすめします。
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