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【基礎知識】社会保険の扶養に入れる条件とは?

  • 大澤労務管理事務所
  • 4月14日
  • 読了時間: 9分

更新日:5月12日

社会保険の扶養条件に関する説明資料。手続きや認定基準、収入要件が詳述。女性が明るい表情でノートパソコンを操作。

被扶養者の認定基準・収入要件・手続きの流れを徹底解説


【2026年4月の「130万円の壁」新ルールにも対応】



従業員から「家族を扶養に入れたい」と言われたとき、正しく対応できていますか?


社会保険の被扶養者認定は、「範囲(誰が対象か)」と「収入要件(いくらまでか)」の2つの基準で判断されます。さらに2026年4月からは、収入の判定方法が「労働契約ベース」に変更される新ルールが施行されました。

本記事では、協会けんぽにおける被扶養者の認定基準、必要書類、届出の流れ、そして2026年4月の改正ポイントまでを体系的に整理します。

「130万円の壁」や「税法上の扶養との違い」等、経営者が知っておくべき知識も網羅しています。


この記事でわかること


●    被扶養者になれる家族の「範囲」と「収入要件」

●    同居・別居で異なる収入判定の考え方

●    2026年4月〜「労働契約ベース」の新判定ルール

●    届出に必要な書類と手続きフロー

●    認定後の実務(マイナ保険証・資格確認書)

●    経営者が注意すべき管理ポイント




1. 被扶養者になれる家族の範囲


健康保険では、被保険者(役員・従業員)に扶養されている家族を「被扶養者」として認定することで、その家族も保険給付を受けることができます。

被扶養者に認定されるには、「被扶養者の範囲」と「収入要件」の両方を満たす必要があります。


同居でなくても扶養に入れる家族

被保険者の直系尊属(父母・祖父母等)、配偶者(事実婚含む)、子、孫、兄弟姉妹は、同居していなくても被扶養者になることができます。


同居が必要な家族

上記以外の3親等内の親族(叔父・叔母・甥・姪など)や、事実婚の配偶者の父母・子については、被保険者と同一世帯に属している(同居している)ことが必要です。



いずれの場合も「主として被保険者の収入により生計を維持していること」が前提条件です。




2. 被扶養者の収入要件──「130万円の壁」の正しい理解


被扶養者の収入要件は、同居か別居かによって異なります。また、対象者の年齢や障害の有無によって基準額が変わる点にも注意が必要です。


基準額の一覧

対象者

年間収入の基準額

原則(60歳未満)

130万円未満

60歳以上、または

障害厚生年金を受けられる程度の障害者

180万円未満

19歳以上23歳未満(被保険者の配偶者を除く)

150万円未満


同居の場合の判定

被扶養者の今後の見込み年収額が、以下の両方を満たす必要があります。


  • 基準額未満(原則130万円未満)

  • 被保険者の年収の1/2未満


ただし、1/2以上であっても、被扶養者の収入が被保険者の年収を上回らず、世帯の生計維持の中心が被保険者であると認められる場合は、被扶養者に該当する場合もあります。


別居の場合の判定

被扶養者の今後の見込み年収額が、以下の両方を満たす必要があります。


  • 基準額未満(原則130万円未満)

  • 被保険者からの仕送り額より少ない




3. 【2026年4月改正】「労働契約ベース」の新判定ルール


【重要な制度変更】

2026年4月1日以降、被扶養者の収入が給与収入のみの場合は、労働条件通知書等に記載の労働契約の内容によって年間収入を判定する方式に変更されました。


何が変わったのか

項目

従来の判定方法

2026年4月以降の新ルール

判定の基準

過去・現在の収入実績から

今後1年間の見込みを推計

労働条件通知書の記載内容から

年間収入を算出

残業代の扱い

残業代を含む実収入で判定 

→ 繁忙期に扶養を外れるリスク

労働契約に規定のない時間外労働の賃金は年間収入に含めない

必要書類

課税(非課税)証明書など

労働条件通知書 + 給与収入のみ

である旨の申立書


経営者が押さえるべきポイント

この改正により、労働条件通知書は「労基法上の義務書類」から、社会保険の扶養認定を左右する「判定の基礎書類」へとその重要性が大きく高まりました。


✓    自社の労働条件通知書に賃金・労働時間・勤務日数が明確に記載されているか確認する

✓    パート・アルバイト従業員への周知を行う(残業しても即座に扶養を外れるわけではない旨を含む)

✓    給与収入以外に年金・事業収入がある場合は、従来どおりの判定が適用される点も理解しておく


※ 労働契約の内容を確認できる書類がない場合は、従来どおり課税(非課税)証明書等で判定されます


一時的に130万円を超えた場合の取り扱い

被扶養者の年収が一時的に基準額以上となった場合でも、その増加が社会通念上妥当な範囲内であれば、直ちに被扶養者資格を取り消す必要はありません。

ただし、この措置は同一の被扶養者につき原則として連続2回までです。被扶養者の勤務先の事業主に「一時的な収入変動に係る事業主の証明書」を発行してもらう必要があります。





4. 扶養追加の手続きフロー


従業員から「家族を扶養に入れたい」と申し出があった場合の実務の流れを、

5つのステップで整理します。


ステップ

内容

留意点

① 扶養情報の確認

扶養追加日、理由、家族の氏名・生年月日・続柄・同居の有無・収入等を確認

確認事項を記載した任意書式を用意し、書面で提出してもらうのがおすすめ

② 認定基準の判定

被扶養者の範囲と収入要件を満たすか確認

2026年4月以降、給与収入のみの場合は労働条件通知書で判定

③ 必要書類の受領

続柄確認書類(戸籍謄本等)、収入確認書類、別居時の仕送り証明等を受領

マイナンバーの収集も必要

④ 届書の作成・提出

「健康保険 被扶養者(異動)届」を作成し、事務センターまたは年金事務所へ提出

事実発生から5日以内が提出期限

⑤ 認定後の対応

資格情報のお知らせ・資格確認書の配付

マイナ保険証の有無で届出後の流れが異なる


続柄確認の書類

以下のいずれかを提出してもらいます。


  • 提出日からさかのぼって90日以内に発行された被扶養者の戸籍謄(抄)本

  • 住民票の写し(コピー不可、マイナンバーの記載がないもの)── 被保険者が世帯主かつ同一世帯の場合に限る


▶省略可能な場合

被保険者・被扶養者のマイナンバーが記載されており、かつ企業が続柄を確認して届書の「続柄確認済み」にチェックを入れた場合は、添付不要です。


収入要件確認の書類

被扶養者の就業状況に応じて、所得証明書、課税(非課税)証明書、年金振込通知書、雇用保険受給資格者証、確定申告書の写しなどが必要となります。


▶省略可能な場合

被扶養者が16歳未満の場合、または所得税法上の控除対象配偶者・扶養親族であることを企業が確認し、「事業主確認欄」に〇を付した場合は添付不要です。ただし、被保険者の合計所得金額が1,000万円超の場合や、60日以上さかのぼっての申請の場合は書類添付が必要です。


別居の場合の追加書類

仕送り額がわかる書類(銀行の通帳の写しや現金書留の控え等)が必要です。ただし、16歳未満や16歳以上の学生が国内で別居している場合は不要です。


2026年4月以降の追加書類

被扶養者の収入が給与収入のみの場合、「労働条件通知書」や「給与収入のみである旨の申立書」の添付が必要になる場合があります。届出前に年金事務所へ確認することをおすすめします。




5. 届出の提出先と認定後の対応


届出の基本情報

項目

内容

届出様式

健康保険 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)

提出期限

事実発生から5日以内

届出先

事務センター または 管轄の年金事務所

届出方法

電子申請、郵送、窓口持参(窓口は年金事務所のみ)

添付書類

続柄確認書類、収入要件確認書類等(省略可能な場合あり)



▶配偶者が20歳以上60歳未満の場合

国民年金の第3号被保険者にも該当する為、この届書で第3号の手続きもあわせて行うことができます。


資格確認書の発行について

2024年12月から被扶養者(異動)届に「資格確認書発行要否」欄が新設されました。マイナ保険証を保有していない方には、チェックの有無にかかわらず資格確認書が発行されますが、チェックを入れないと発行まで30〜50日程度かかるため、チェックを入れておくことをおすすめします。


認定後の流れ

マイナ保険証の有無

認定後の流れ

保有している

受理後2〜5営業日程度でマイナ保険証が利用可能に。「資格情報のお知らせ」が届き次第、被保険者へ配付

保有していない

「資格情報のお知らせ」と「資格確認書」が届き次第、被保険者へ配付。資格確認書で保険診療が受診可能に


【繁忙期の注意】

3月〜4月の入退社が多い時期は年金事務所の処理が混雑します。届出日までに認定基準の確認と書類準備を済ませておくことで、被扶養者が早めに受診できるようになります。




6. 経営者が注意すべき管理ポイント


定期的な扶養状況の確認

被扶養者資格の再確認は毎年度実施されます。特に、学生だった子どもが就職するタイミングでの扶養削除の手続き漏れが発生しやすいため、年度初め等に被保険者へ確認を促す仕組みを設けておくことが有効です。


税法上の扶養との違いを理解する

「社会保険の扶養」と「税法上の扶養(所得税・住民税の扶養控除)」は全く別の制度です。収入の基準額も判定方法も異なるため、従業員からの問い合わせに正確に対応できるよう、両制度の違いを整理しておきましょう。

項目

社会保険の扶養

税法上の扶養

基準額

年収130万円未満

(条件により150万円/180万円)

合計所得58万円(給与収入123万円)

判定対象の収入

通勤手当・雇用保険給付等を含む

非課税所得は含まない

2026年4月改正の影響

あり(労働契約ベースに変更)

なし


労働条件通知書の整備

2026年4月の改正により、労働条件通知書は被扶養者認定の「判定の基礎書類」となりました。パート・アルバイト従業員の労働条件通知書に賃金・労働時間・勤務日数が明確に記載されているか、改めて確認しましょう。




まとめ


社会保険の被扶養者認定は、「範囲」と「収入要件」の2つの基準で判断されます。2026年4月からは、給与収入のみの場合に「労働契約の内容」で年間収入を判定する新ルールが施行され、労働条件通知書の重要性がこれまで以上に高まっています。

経営者としては、被扶養者の認定手続きが社内で適切に運用されているかを定期的に確認し、特に以下の点に注意しましょう。


✓    労働条件通知書に賃金・労働時間・勤務日数が正確に記載されているか

✓    扶養追加・削除の手続き漏れを防ぐ仕組み(年度初め等の定期確認)があるか

✓    従業員からの問い合わせに対応できるよう、社会保険と税法上の扶養の違いを整理しているか



扶養認定の実務は細かな要件が多く、判断に迷う場面も少なくありません。

不安がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。




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