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【法改正対応・基礎知識】育児と仕事の両立支援、企業にはどんな制度が必要?一覧にして解説!

執筆者の写真: 大澤労務管理事務所
大澤労務管理事務所
5月15日
読了時間: 8分
【育児と仕事の両立支援、企業にどんな制度が必要?】というタイトルのイメージ。母親が赤ちゃんを抱っこする姿。左に制度の説明とポイントが色分けで表示。

10の法定制度を一覧比較

利用期間・対象者・給付金まで徹底解説


【2025年10月 育児・介護休業法改正対応】



育児期の従業員を支える法定制度は、10種類もあることをご存じですか?

2025年10月の育児・介護休業法改正により、「柔軟な働き方の措置の個別周知・意向確認」や「両立に関する意向聴取・配慮」が新たに義務化されました。これにより、従業員との面談機会が増え、経営者・労務担当者には各制度の正確な理解がこれまで以上に求められています。

本記事では、10の法定制度を一覧で比較し、それぞれの対象者・利用期間・給付金の有無までを体系的に整理します。



この記事でわかること


●    育児期の両立支援にかかわる10の法定制度の全体像

●    各制度の利用期間を子どもの年齢で一覧比較

●    育児休業・産後パパ育休の概要と給付金

●    子の看護等休暇・所定外労働の制限・時間外労働の制限・深夜業の制限の違い

●    育児短時間勤務制度と代替措置

●    2025年10月義務化「柔軟な働き方の措置」の5つの選択肢

●    経営者のための制度整備チェックリスト





1. 育児期の両立支援──10の法定制度の全体像

育児・介護休業法により、企業が整備すべき育児期の両立支援制度は主に10種類あります。まずしっかりと全体像を把握しましょう。

No.

制度名

義務/努力義務

対象となる子の年齢

①

育児休業

義務

原則1歳未満(2歳まで延長可)

②

出生時育児休業(産後パパ育休)

義務

出生後8週間以内

③

子の看護等休暇

義務

小学校3年生修了まで

④

所定外労働の制限

義務

小学校就学前まで

⑤

時間外労働の制限

義務

小学校就学前まで

⑥

深夜業の制限

義務

小学校就学前まで

⑦

育児短時間勤務制度

義務

3歳未満

⑧

柔軟な働き方の措置(2025年10月〜)

義務

3歳〜小学校就学前

⑨

小学校就学前の子に関する措置

努力義務

小学校就学前まで

⑩

育児のためのテレワーク導入(2025年4月〜)

努力義務

3歳未満


▶ポイント

①〜⑧は義務(就業規則等への規定が必要)、⑨⑩は努力義務です。対象外にできる従業員もありますが、その場合は労使協定の締結が必要となるケースがあります。




2. 子どもの年齢別──制度の利用期間一覧

ここでは、各制度が「いつからいつまで使えるか」を子どもの年齢で整理します。従業員への説明で最も聞かれるポイントです。

子の年齢

利用可能な制度

出生〜8週間

出生時育児休業(産後パパ育休)、育児休業

8週間〜1歳

育児休業

1歳〜2歳

育児休業(延長の場合)

〜3歳未満

育児短時間勤務、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、テレワーク(努力義務)

3歳〜小学校就学前

柔軟な働き方の措置(5つから2つ以上選択)、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、子の看護等休暇

小学校1〜3年生

子の看護等休暇




3. 各制度の概要──対象者・取得回数・給付金

それでは、各制度の概要を詳しく見ていきましょう。


① 育児休業

項目

内容

対象者

原則1歳未満の子を養育する従業員(男女問わず)

期間

原則:子が1歳になるまで。保育所に入所できない等の場合は最長2歳まで延長可

分割

2回まで分割取得が可能

給付金

育児休業給付金(休業開始から180日まで:賃金の67%、181日目以降:50%)

社会保険料

休業期間中は企業・従業員ともに免除

対象外にできる従業員

労使協定により、入社1年未満・週2日以下勤務等の従業員を対象外にできる


② 出生時育児休業(産後パパ育休)

項目

内容

対象者

子の出生後8週間以内の従業員(主に父親を想定)

期間

最大4週間(28日間)

分割

2回まで分割取得が可能(育児休業と合わせて最大4回に分割可)

申出期限

原則、休業の2週間前まで

就業

労使協定を締結していれば、休業中に就業することも可能

給付金

出生時育児休業給付金(賃金の67%)

社会保険料

休業期間中は企業・従業員ともに免除


③ 子の看護等休暇

項目

内容

対象者

小学校3年生修了までの子を養育する従業員

日数

子1人:年5日、子2人以上:年10日

取得単位

1日または時間単位

取得理由

子の病気・けが、予防接種・健診、感染症による学級閉鎖、入園(入学)式・卒園式への参加 等

給付金

なし(有給・無給は企業の規定による)


④⑤⑥ 労働時間の制限(3種類の比較)

所定外労働・時間外労働・深夜業の3種類の制限は混同しやすいため、比較テーブルで整理します。

項目

④ 所定外労働の制限

⑤ 時間外労働の制限

⑥ 深夜業の制限

内容

所定労働時間を超える労働の免除

月24時間・年150時間超の時間外労働の制限

午後10時〜午前5時の労働の制限

対象の子の年齢

小学校就学前まで

小学校就学前まで

小学校就学前まで

請求方法

従業員からの請求が必要

従業員からの請求が必要

従業員からの請求が必要

請求単位

1回につき1か月以上1年以内

1回につき1か月以上1年以内

1回につき1か月以上6か月以内


⑦ 育児短時間勤務制度

項目

内容

対象者

3歳未満の子を養育する従業員

内容

1日の所定労働時間を原則6時間に短縮

対象外にできる従業員

労使協定により、入社1年未満・週2日以下勤務・業務の性質上困難な従業員を対象外にできる

代替措置

対象外とした場合、①育休に準ずる措置、②テレワーク、③始業時刻変更等のいずれかを講じる必要あり


⑧ 柔軟な働き方の措置(2025年10月義務化)

【2025年10月施行の新制度】

3歳〜小学校就学前の子を養育する従業員に対して、以下の5つの措置から2つ以上を選択して導入することが義務付けられました。導入後は、対象従業員への個別周知と意向確認も必要です。


措置

内容

A. 始業時刻等の変更

フレックスタイム制または時差出勤制度

B. テレワーク

月10日以上利用可能なテレワーク制度

C. 短時間勤務制度

1日の所定労働時間を原則6時間とする措置

D. 保育施設の設置運営等

事業所内保育施設の設置運営、またはベビーシッター費用の補助

E. 養育両立支援休暇

子の養育を目的とする休暇(年10日以上)の付与


▶経営者の視点

5つの措置のうちどの2つを選ぶかは、自社の業務特性や従業員構成に合わせて判断しましょう。テレワークが難しい業種であれば「始業時刻の変更+養育両立支援休暇」、オフィスワーク中心であれば「テレワーク+フレックスタイム」など、実態に即した選択が重要です。


⑨⑩ 努力義務の制度

制度

内容

⑨ 小学校就学前の子に関する措置

育児に関する目的で利用できる休暇制度(配偶者出産休暇、行事参加休暇等)や、従業員区分に応じた措置を講じることが努力義務

⑩ 育児のためのテレワーク(2025年4月〜)

3歳未満の子を養育する従業員がテレワークを選択できる措置を講じることが努力義務




4. 2025年10月改正──新たに義務化された2つの対応


【個別周知・意向確認】

柔軟な働き方の措置の導入後、対象従業員に対して、自社が選択した措置の内容や、所定外労働・時間外労働・深夜業の制限など利用可能な両立支援制度を個別に周知し、意向確認を行う必要があります。


【意向聴取・配慮】

従業員の子どもや家庭の事情に応じて、以下の事項を聴取し、配慮することが義務付けられました。


●    勤務時間帯(始業・終業の時刻)や勤務地の希望

●    両立支援制度の利用期間の希望

●    仕事と育児を両立できる就業条件(業務量・労働条件の見直し)





経営者のための制度整備チェックリスト


自社の両立支援制度が法令に適合しているか確認しましょう。


✓    育児休業・出生時育児休業(産後パパ育休)を就業規則に規定しているか

✓    子の看護等休暇の対象を「小学校3年生修了まで」に拡大しているか(2025年4月改正)

✓    所定外労働の制限の対象を「小学校就学前まで」に拡大しているか(2025年4月改正)

✓    育児短時間勤務制度を就業規則に規定し、代替措置も整備しているか

✓    柔軟な働き方の措置について、5つの選択肢から2つ以上を導入しているか(2025年10月義務化)

✓    対象従業員への個別周知・意向確認のフローを構築しているか

✓    意向聴取・配慮の実施体制を整備しているか

✓    労使協定で対象外とする従業員の範囲を明確にしているか

✓    育児のためのテレワーク導入を検討しているか(努力義務)

✓    管理職に対して各制度の説明ができるよう研修・情報提供を行っているか




まとめ


育児期の両立支援に関する法定制度は10種類にのぼり、2025年の法改正で「柔軟な働き方の措置」や「個別周知・意向確認」が新たに義務化されました。制度は子どもの年齢に応じて利用可能な範囲が異なるため、本記事の一覧テーブルを活用して全体像を把握しておくことが重要です。

制度を導入するだけでなく、従業員に正しく周知し、実際に利用しやすい職場風土をつくることが、両立支援の効果を最大化します。

就業規則の改定や労使協定の整備に不安がある場合は、社会保険労務士など専門家への相談をおすすめします。




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