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【2026年7月改正】障害者雇用の法定雇用率が2.7%に──企業は何をすべきか?

  • 大澤労務管理事務所
  • 5月9日
  • 読了時間: 8分

更新日:5月11日

2026年7月に障害者の法定雇用率が2.7%に引き上げ。スーツを着た笑顔の男女が背景にいるビジネス設定。

制度の基本から採用の流れ、

助成金、職場定着まで徹底解説

【従業員向け説明資料ダウンロード付き】


2026年7月、障害者の法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられます。

この引き上げにより、常用雇用労働者37.5人以上の企業が新たに障害者雇用義務の対象となります。現在すでに達成している企業も、雇用率の上昇に伴い追加の雇用が必要となる場合があります。

民間企業における障害者雇用数は70万人超と22年連続で過去最高を更新する一方、法定雇用率の達成企業は46.0%にとどまっています。

本記事では、障害者雇用の基本制度、雇用率の計算方法、採用から定着までの流れ、活用できる助成金と支援制度まで、経営者が知るべき情報を体系的に整理します。



この記事でわかること


●    障害者雇用率制度の仕組みと2026年7月の変更点

●    法定雇用障害者数の計算方法と具体例

●    障害者雇用納付金制度(納付金・調整金・報奨金)

●    障害者の算定方法(重度・短時間のカウントルール)

●    採用から職場定着までの5ステップ

●    活用できる助成金・支援制度

●    経営者チェックリスト+従業員向け説明資料






1. 障害者雇用率制度の基本と2026年7月の変更点


【法定雇用率とは】

常用雇用労働者が一定数以上の企業は、全従業員に占める障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。常用雇用労働者とは、週所定労働時間が20時間以上で、1年を超えて雇用される(見込み含む)従業員を指します。


【2026年7月の引き上げ】

項目

現行(〜2026年6月)

改正後(2026年7月〜)

法定雇用率

2.5%

2.7%

対象企業の規模

常用雇用労働者 40.0人以上

常用雇用労働者 37.5人以上


【新たに対象となる企業に注意】

法定雇用率の引き上げにより、常用雇用労働者37.5人〜39.9人の企業が新たに障害者雇用義務の対象となります。「うちは関係ない」と思っていた中小企業も、対象に該当するか確認が必要です。


【常用雇用労働者のカウント方法】

労働者の区分

カウント方法

週所定労働時間30時間以上

1人としてカウント

週所定労働時間20時間以上30時間未満(短時間労働者)

0.5人としてカウント

週所定労働時間20時間未満

カウント対象外


【法定雇用障害者数の計算方法】

法定雇用障害者数 =(常用雇用労働者数 + 短時間労働者数 × 0.5)× 法定雇用率

※ 小数点以下は切り捨て


【計算例】

【企業の状況】

短時間以外の常用雇用労働者:119人 / 短時間労働者:2人


【計算】

(119 + 2 × 0.5)× 2.7% = 120 × 0.027 = 3.24 → 3人

→ この企業は3人の障害者を雇用する義務があります。


【対象となる障害者の範囲】

障害の種類

対象者

身体障害者

身体障害者手帳1〜6級に該当し、手帳を所持している方

知的障害者

児童相談所等で知的障害者と判定され、療育手帳もしくは判定書等を所持している方

精神障害者

精神障害者保健福祉手帳を所持している方





2. 障害者の算定方法──カウントのルール


雇用する障害者の数を算定する際、障害の程度や労働時間に応じて特別なカウントルールがあります。

障害の種類

週30時間以上

週20時間以上30時間未満

週10時間以上20時間未満

身体障害者

1人

0.5人

重度身体障害者

2人

1人

0.5人

知的障害者

1人

0.5人

重度知的障害者

2人

1人

0.5人

精神障害者

1人

1人(※)

0.5人


※ 短時間労働の精神障害者は、一定の要件を満たす場合に1人としてカウント(本来は0.5人)。




3. 障害者雇用納付金制度──未達成のコストと達成のメリット


常用雇用労働者100人超の企業で法定雇用率を満たさない場合は納付金が徴収され、逆に達成企業には調整金・報奨金が支給される仕組みです。

項目

対象

金額

障害者雇用納付金

常用雇用労働者100人超で法定雇用率未達成の企業

不足1人あたり月額50,000円

障害者雇用調整金

常用雇用労働者100人超で法定雇用率を超過して雇用する企業

超過1人あたり月額29,000円

報奨金

常用雇用労働者100人以下で一定数を超えて雇用する企業

超過1人あたり月額21,000円


▶経営者の視点

法定雇用率未達成のコスト(月額5万円/人)は決して小さくありません。一方、達成企業には調整金が支給されるため、障害者雇用を「コスト」ではなく「投資」として捉えることが重要です。





4. 障害者雇用の流れ──5つのステップ


初めて障害者雇用に取り組む場合でも、計画的に進めれば対応は可能です。

以下の5ステップで整理します。


ステップ

内容

ポイント

① 理解促進

ハローワーク・地域障害者職業センター等への相談、支援施設や特別支援学校の見学

経営者自らが障害者雇用を推進するメッセージを発信し、社内の共通認識をつくる

② 職務の選定

障害者が担当可能な職務を洗い出し、障害特性に合った配置・職務設計を行う

既存業務の定型反復作業の切り出し、徐々に職務の幅を広げる方法が有効

③ 受入れ体制の整備

労働条件の決定、受入れ部署への事前説明、指導担当者の選任、バリアフリー化

就労支援機器の導入検討、物理的環境と人的環境の両面で準備

④ 採用活動

ハローワークへの求人申込み、障害者就職面接会への参加、支援機関との連携

採用選考では合理的配慮を提供。障害の自己理解や職業的基礎要件も確認

⑤ 職場定着

作業習得・職場適応の支援、体調管理への配慮、業務内容・勤務条件の柔軟な調整

ジョブコーチ支援の活用も有効。すぐに成果を求めず長期的な視点で支援する


▶合理的配慮について

2024年4月から合理的配慮の提供が民間企業にも義務化されています。採用選考から就業後まで、障害者からの申出に応じた合理的配慮を行う必要があります。





5. 活用できる支援制度と助成金


【障害者雇用相談援助事業】

障害者の雇入れや雇用継続に必要な一連の雇用管理について、認定を受けた相談援助事業者から原則無料で支援を受けることができます。初めて障害者雇用に取り組む企業にとって心強い制度です。



【助成金制度】

障害者を雇用する企業の経済的負担を軽減するため、さまざまな助成金制度が用意されています。主なものを整理します。

助成金の種類

概要

特定求職者雇用開発助成金

ハローワーク等の紹介で障害者を雇い入れた企業への助成

トライアル雇用助成金

一定期間の試行雇用を通じて適性を見極めるための助成

障害者雇用安定助成金

職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援などへの助成

障害者介助等助成金

障害者の就労に必要な介助者の配置、通勤援助等への助成

職場適応訓練費

職場適応訓練を受け入れた事業主への訓練費助成



【除外率制度(経過措置)】

障害者の就業が一般的に困難な業種では、除外率の適用により障害者の雇用義務が軽減される経過措置が残っています。ただし、制度自体は廃止が決定しており、今後段階的に縮小されます。自社の業種に除外率が設定されているかは、厚生労働省の資料で確認できます。





経営者のための障害者雇用チェックリスト


2026年7月の引き上げに向けて、自社の対応状況を確認してみてください。


✓    自社の常用雇用労働者数を把握し、障害者雇用義務の対象か確認したか

✓    法定雇用障害者数を計算し、現在の雇用状況と比較したか

✓    2026年7月の引き上げ後に追加雇用が必要か試算したか

✓    ハローワークや地域障害者職業センターに相談したか

✓    障害者が担当可能な職務の洗い出しを行ったか

✓    受入れ部署の従業員への事前説明・理解促進を計画しているか

✓    活用可能な助成金を確認したか

✓    障害者雇用納付金の対象か確認したか(常用雇用労働者100人超の場合)

✓    従業員向けの啓発資料を準備したか




まとめ


2026年7月から障害者の法定雇用率が2.7%に引き上げられ、対象企業の範囲も拡大します。未達成企業は納付金の負担がさらに重くなる一方、計画的に取り組めば助成金や支援制度を活用しながら進めることが可能です。

障害者雇用は法令遵守にとどまらず、多様な人材の確保、業務プロセスの標準化、組織風土の改善といった経営上のメリットももたらします。「まだ先のこと」と思わず、今から準備を進めましょう。

記事の末尾に、従業員向け啓発資料「障害のある方と一緒に働くときのポイント」をご用意しています。社内周知にご活用ください。





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中小企業の障害者雇用支援・助成金活用をサポートする社会保険労務士事務所です。

法定雇用率の算定から採用計画の策定、就業規則の整備、

助成金の申請支援まで、経営者に寄り添った実務支援を行っています。


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