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【基礎知識】離職票の手続きと離職証明書の書き方──会社が行う5つのステップ

  • 大澤労務管理事務所
  • 3 日前
  • 読了時間: 7分
離職票と離職証明書の書き方を企業が行う5ステップで解説するインフォグラフィック。書類やペン、パソコンが背景にあり、手続きの詳細を説明。

離職証明書の各欄の記入方法、

賃金額の書き方、

離職理由の選び方まで徹底解説


離職証明書の書き方を間違えると、退職者の失業手当に直接影響します。

離職証明書は、退職者が受け取る失業手当の受給資格・給付金額・給付日数を決定する基礎となる書類です。賃金額の記入ミスや離職理由の選択誤りは、退職者との深刻なトラブルにつながりかねません。

本記事では、離職票の発行手続きの全体フローから、離職証明書の各欄の具体的な書き方、特に間違いやすい賃金支払基礎日数・賃金額・離職理由の記入方法を詳しく解説します。


この記事でわかること


●    離職票と離職証明書の違い

●    離職票発行の5ステップ(希望確認→作成→署名→届出→交付)

●    離職証明書の各欄(①〜⑨欄)の書き方

●    月給制の種類別・賃金支払基礎日数の算定方法

●    賃金額の記入方法(含めるもの・含めないもの)

●    離職理由の選び方(自己都合退職の場合)

●    マイナポータルへの離職票直接交付サービス




1. 離職票と離職証明書の違い


まず、混同しやすい「離職票」と「離職証明書」の違いを整理します。

項目

離職証明書

離職票

正式名称

雇用保険被保険者離職証明書

雇用保険被保険者離職票(-1・-2の2枚)

誰が作成するか

企業が作成

ハローワークが発行

どこに提出するか

企業がハローワークに提出

退職者がハローワークに提出(失業手当の申請時)

書類の流れ

企業 → ハローワーク

ハローワーク → 企業 → 退職者


離職票は「-1」と「-2」の2枚で構成されます。「-1」には資格喪失の確認情報が、「-2」には離職日以前の賃金支払い状況と離職理由が記載されています。




2. 離職票発行の5ステップ

ステップ

内容

注意点

① 希望確認

退職者に離職票の発行希望を確認

59歳以上は希望の有無にかかわらず発行必須

② 離職証明書の作成

出勤簿・賃金台帳をもとに離職証明書を作成

離職日以前2年間に12か月以上の被保険者期間が必要(原則)

③ 退職者の署名

離職証明書の⑮・⑯欄に退職者の署名をもらう

電子申請の場合は「確認書」の添付で代替可能

④ ハローワークへ届出

資格喪失届+離職証明書を届出

離職日の翌々日から10日以内

⑤ 離職票を退職者に交付

ハローワークから発行された離職票-1・-2を退職者に渡す

マイナポータル直接交付の場合は企業から渡す必要なし


【届出の遅延は退職者の不利益に直結】

届出が遅れると離職票の発行が遅延し、退職者が失業手当の手続きを行えなくなります。当初は離職票を希望しなかった退職者から後日請求があった場合も、速やかに手続きが必要です。




3. 離職証明書の書き方──各欄の記入方法


離職証明書は3枚綴りの複写式(1枚目:事業主控、2枚目:安定所提出用、3枚目:離職票-2)です。専用用紙はハローワーク窓口で入手するか、電子申請(e-Gov・マイナポータル)で作成します。


雇用保険被保険者離職証明書の画像。基本情報や離職理由、賃金支払状況などの項目が表形式で記載。色分けされた背景。


【左側:賃金支払い状況の記入】


① 離職者の基本情報・事業主証明欄

離職者の氏名、住所などの基本情報と、事業主の証明を記入する欄です。失業手当の手続きは離職票に記載された住所を管轄するハローワークで行うため、住所は事前に離職者本人へ確認してください。


② 被保険者期間算定対象期間

離職日から1か月ずつさかのぼり、上の段から下の段へ記入します。③欄(賃金支払基礎日数)が11日以上ある「完全月」を12か月分記入します。

▶注意

③欄が10日以下でも総労働時間数が80時間以上ある月は1か月としてカウントできます。ただし、11日以上の月が優先されるため、13か月目以降に11日以上の月がある場合はそちらを使用します。


③ 賃金支払基礎日数

②欄の期間で賃金支払の基礎となった日数を記入します。有給休暇・半日休暇の取得日も1日として含めます。



【月給制の種類による日数の違い】


月給制の種類によって、③欄・⑤欄の記入方法が異なります。

月給制の種類

欠勤控除の有無

③⑤欄の日数

完全月給制

欠勤しても賃金を減額しない

暦日数を記入

日給月給制

欠勤日数分の賃金を減額する

暦日数から欠勤日数を差し引いた日数を記入

月給制(特定)

特定の不就労日の賃金を減額する

企業の運用に応じて算定(就業規則を確認)


④ 賃金支払対象期間

賃金締切日の翌日から賃金締切日までの期間を記入します。⑤欄(基礎日数)が11日以上ある完全月を6か月分記入します。②欄と同様に、10日以下でも80時間以上の月はカウント可能ですが、11日以上の月が優先です。


⑤ 賃金支払対象期間の基礎日数

④欄の期間で賃金支払の基礎となった日数を記入します。記入方法は③欄と同様です。


⑥ 賃金額

④欄の期間に支払った賃金額を記入します。月給制・週給制の場合はA欄に、日給制・時間給制・出来高制の場合はB欄に記入します


区分

具体例

含めるもの

基本給、通勤手当、残業手当、扶養手当、住宅手当、役職手当、精皆勤手当、家族手当 等

含めないもの

賞与(3か月を超える期間ごとに支給)、退職金、結婚祝金、傷病見舞金、解雇予告手当、休業補償費、年3回以下の賞与 等


⑦ 備考

離職月の賃金が決定していない場合は「未計算」と記入します。③欄が10日以下だが80時間以上の月がある場合は、総労働時間数を記入します。



【右側:離職理由の記入】


⑧ 離職理由(事業主記入欄)

離職理由の1〜5から該当するものを1つ選び、○を記入します。該当がなければ6「その他」に○を記入し、理由を簡潔に記入します。

自己都合退職の場合:

『5(2)労働者の個人的な事情による離職(一身上の都合、転職希望等)』に○を記入します。

⑨ 具体的事情記載欄(事業主用)

離職に至った原因とその経緯を具体的に記入します。自己都合退職であれば「自己都合による退職」と記入します。

【離職理由は最もトラブルが多い項目】

離職理由は失業手当の給付日数や給付制限に直接影響するため、企業と退職者の間で認識がずれるとトラブルになりやすいポイントです。⑮・⑯欄の署名をもらう前に、必ず離職理由について退職者と合意を取っておくことが重要です。




4. 退職者の署名と電子申請の場合


離職証明書2枚目(安定所提出用)の「⑮離職者氏名」「⑯異議の有無および離職者氏名」の2か所に署名をもらいます。2020年12月25日より押印は不要です。

電子申請の場合は、署名の代わりに「離職証明書の記載内容に関する確認書」を退職者から取得し、添付書類として提出します。





5. マイナポータルへの離職票直接交付


2025年1月20日から、一定の条件をすべて満たす場合は、退職者のマイナポータルに離職票(-1・-2)が直接交付されるサービスが開始されました。

条件

内容

条件①

届出済みのマイナンバーが被保険者番号と適切に紐付いていること

条件②

退職者がマイナポータルと雇用保険WEBサービスの連携設定を行っていること

条件③

企業が電子申請で雇用保険の離職手続きを行っていること


3条件をすべて満たす場合、企業には事業主控のみが発行され、退職者への離職票の郵送は不要になります。





離職票手続きチェックリスト


✓    退職者に離職票の発行希望を確認したか(59歳以上は必須)

✓    離職日以前12か月分の出勤簿・賃金台帳を準備したか

✓    月給制の種類を確認し、賃金支払基礎日数を正しく算定したか

✓    賃金額に含めるもの・含めないものを確認したか

✓    離職理由について退職者と事前に合意を取ったか

✓    離職証明書の⑮・⑯欄に退職者の署名をもらったか(電子申請の場合は確認書を取得)

✓    離職日の翌々日から10日以内にハローワークへ届出したか

✓    発行された離職票を退職者に速やかに交付したか

✓    マイナポータル直接交付の条件を満たしているか確認したか




まとめ


離職票の発行手続きは、退職者の失業手当の受給に直結する重要な業務です。特に離職証明書の「賃金支払基礎日数」「賃金額」「離職理由」の3点は、記入ミスやトラブルが起きやすいポイントです。

月給制の種類による日数の違い、賃金に含めるもの・含めないものの区別、離職理由の選び方──いずれも正確な知識と丁寧な確認が求められます。退職者とのコミュニケーションを密にし、署名をもらう前に記載内容の合意を取ることが、トラブル防止の最善策です。

離職証明書の作成や届出に不安がある場合は、社会保険労務士への相談・代行依頼をおすすめします。




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