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【総まとめ】給与計算・社会保険手続きの年間カレンダー|月別にやることを整理

執筆者の写真: 大澤彩人
大澤彩人
4 日前
読了時間: 10分
給与計算・社会保険手続きの年間カレンダーを示すポスター。スーツ姿の女性がノートPC前で考え、2026年の月別業務や期限が並ぶ。

毎月の定例業務から年1回の大きな手続きまで、1年の流れが一目でわかります


7月10日は、労働保険の年度更新と社会保険の定時決定、2つの期限が重なる日です。

どちらも年1回しかない手続きのため、「去年どうやったか思い出せない」「準備を始めるのが遅れて慌てた」という声をよく聞きます。

給与計算・社会保険の実務は、毎月の定例業務に加えて、年に数回の大きな山場があります。その流れをあらかじめ把握しておけば、必要な書類の準備を前倒しでき、慌てずに対応できます。

本記事では、1年間の実務の流れを月別に整理しました。各手続きの詳細は、リンク先の個別記事で確認できます。



この記事の使い方

●    「年間カレンダー」で1年の流れをつかむ

●    今月・来月やることを確認する

●    詳しく知りたい手続きは、リンク先の個別記事へ

●    「随時発生する手続き」で入退社時の対応を確認




給与計算・社会保険の年間カレンダー


まず、1年間の流れを月別に確認しましょう。網掛けの月は、特に業務が集中する時期です。


月

主な手続き・業務

期限

1月

法定調書合計表・給与支払報告書の提出/源泉徴収票の交付

1月31日

2月

3月分社会保険料(健康保険料率改定)の準備

─

3月

健康保険・介護保険料率の改定(3月分から)/36協定の更新・届出/退職者対応

3月31日(36協定)

4月

雇用保険料率の変更/入社手続き/新年度の各種改定

随時

5月

住民税の特別徴収税額通知の受領・給与システムへの反映

─

6月

労働保険の年度更新(受付開始)/住民税の新年度徴収開始/賞与

6月1日〜

7月

年度更新・定時決定の提出期限/賞与支払届

7月10日

8月

夏季休暇の勤怠管理/(9月以降の標準報酬月額の確認)

─

9月

新しい標準報酬月額の適用(9月分の保険料から)

─

10月

最低賃金の発効(都道府県ごとに異なる)

発効日まで

11月

年末調整の準備(申告書の配布・回収)

─

12月

年末調整/賞与/賞与支払届

12月の給与支払日まで




毎月の定例業務


月ごとの特別な手続きに加えて、毎月必ず発生する業務があります。


業務

期限の目安

勤怠の締め・給与計算・給与明細の交付

社内の給与支払日に合わせて

源泉所得税の納付

翌月10日(納期の特例適用時は年2回)

住民税(特別徴収)の納付

翌月10日

社会保険料の納付

翌月末日(口座振替の場合は自動引落)

労働保険料の納付(分割納付の場合)

各期の納付期限


給与計算の前提となるのが、正確な勤怠管理です。着替えや朝礼の時間、休憩中の電話当番など、どこまでが労働時間になるかの判断を誤ると、未払い残業の原因になります。



また、休日出勤があった月は、代休と振替休日の違いによって割増賃金の計算が変わります。





山場① 4月──新年度の切り替え


4月は入社手続きが集中するうえ、各種料率や制度の切り替えも重なります。



■雇用保険料率の変更雇用保険料率の変更


雇用保険料率は年度ごとに見直されます。4月1日以降に支払う給与から新料率を適用するため、給与計算システムの設定変更が必要です。




■健康保険・介護保険料率の改定(3月分から)


協会けんぽの保険料率は毎年3月分(4月納付分)から改定されます。都道府県ごとに料率が異なるため、自社の所在地の料率を確認してください。



■入社手続き


入社時には、社会保険・雇用保険の資格取得届、扶養家族がいる場合は被扶養者異動届が必要です。扶養に入れるかどうかの判断基準は毎年のように見直されているため、最新のルールを確認しましょう。





山場② 6月〜7月──年度更新と定時決定


【7月10日に2つの期限が重なります】

労働保険の年度更新(6月1日〜7月10日)と、社会保険の定時決定(7月1日〜7月10日)は、どちらも7月10日が提出期限です。6月の給与が確定したらすぐ着手できるよう、必要書類を先に揃えておくことをおすすめします。



■労働保険の年度更新(6月1日〜7月10日)


前年度の保険料を確定・精算し、当該年度の概算保険料を申告・納付する手続きです。確定保険料は旧料率、概算保険料は新料率で計算する点に注意が必要です。




■社会保険の定時決定(7月1日〜7月10日)


4〜6月に支払った賃金をもとに、9月から適用する標準報酬月額を決定する手続きです。支払基礎日数のカウント方法が給与形態によって異なるほか、パート・短時間労働者では判定基準も変わります。




■賞与を支給したら


賞与を支払った場合は、支給日から5日以内に「賞与支払届」を提出します。標準賞与額をもとに社会保険料が計算されるため、提出を忘れると後から保険料の調整が必要になります。




山場③ 9月〜10月──標準報酬月額と最低賃金


■新しい標準報酬月額の適用(9月分から)


定時決定で決まった標準報酬月額は、9月分の保険料から適用されます。翌月徴収の企業では10月支給の給与から控除額が変わるため、従業員への案内があるとスムーズです。


■最低賃金の発効(10月前後)


最低賃金は毎年改定され、都道府県ごとに発効日が異なります。時給のパート・アルバイトだけでなく、月給制の従業員も1時間あたりの賃金に換算して確認が必要です。





山場④ 11月〜1月──年末調整と法定調書


時期

やること

11月

年末調整の書類配布・回収(扶養控除等申告書、保険料控除申告書 等)

12月

年末調整の計算・還付/徴収/源泉徴収票の作成/賞与・賞与支払届

1月

法定調書合計表・給与支払報告書の提出(1月31日まで)/源泉徴収票の交付


▶ポイント

年末調整は書類の回収がボトルネックになりがちです。11月中旬までに配布し、提出期限を明示して回収率を上げることが、12月の作業を軽くするコツです。




随時発生する手続き


年間スケジュールとは別に、従業員の状況に応じて随時発生する手続きがあります。


■入社・退社


場面

主な手続き

期限

入社

社会保険の資格取得届/雇用保険の資格取得届/被扶養者異動届

5日以内/翌月10日まで

退社

社会保険の資格喪失届/雇用保険の資格喪失届・離職証明書/住民税の異動届/源泉徴収票の交付

5日以内/10日以内/翌月10日/1か月以内

退職手続きは届出先と期限がバラバラで、漏れが起きやすい業務です。時系列のフローで整理しておくと確実です。



離職票を交付する場合は、離職証明書の作成が必要です。賃金支払基礎日数・賃金額・離職理由の3点は特にミスとトラブルが起きやすいポイントです。




■同じ月に入社・退職したとき


入社した月のうちに退職した場合(同月得喪)や、退職日と再取得日が同じ場合(同日得喪)は、保険料の取扱いが通常と異なります。健康保険と厚生年金で還付の有無が違う点に注意が必要です。




■産前産後・育児休業


産休・育休の期間中は社会保険料が免除されます。また、育児休業給付の申請手続きは2026年8月に簡素化されました。




■健康保険証まわりの対応


マイナ保険証への完全移行に伴い、入社時の資格確認書の発行要否の確認や、退社時の回収対象物が変わっています。





月別・やることチェックリスト


毎月

✓    勤怠を締めて給与計算を行ったか

✓    源泉所得税・住民税を翌月10日までに納付したか

✓    社会保険料の納付(口座振替の残高確認を含む)を済ませたか

✓    入退社があった場合、各種届出を期限内に提出したか



3月〜4月

✓    健康保険・介護保険料率の改定を給与計算に反映したか(3月分から)

✓    雇用保険料率の変更を給与計算に反映したか(4月1日以降支払分から)

✓    36協定の有効期間を確認し、必要なら更新・届出をしたか

✓    入社者の社会保険・雇用保険の手続きを済ませたか



6月〜7月

✓    労働保険の年度更新の封筒が届いたか確認したか

✓    4〜6月の賃金台帳・出勤簿を準備したか(定時決定用)

✓    7月10日までに年度更新・定時決定を提出したか

✓    賞与を支給した場合、5日以内に賞与支払届を提出したか



9月〜10月

✓    新しい標準報酬月額を給与計算システムに反映したか(9月分から)

✓    最低賃金の改定額と発効日を確認し、賃金を見直したか



11月〜1月

✓    年末調整の書類を配布・回収したか

✓    年末調整の計算と還付/徴収を済ませたか

✓    源泉徴収票を従業員に交付したか

✓    法定調書合計表・給与支払報告書を1月31日までに提出したか




まとめ


給与計算・社会保険の実務は、毎月の定例業務に加えて、4月の切り替え、6〜7月の年度更新と定時決定、9〜10月の標準報酬月額と最低賃金、11〜1月の年末調整という4つの山場があります。

いずれも期限が法令で決まっており、遅れると従業員の不利益や企業へのペナルティにつながります。年間の流れをあらかじめ把握し、繁忙期の前に書類を揃えておくことが、確実な実務の鍵です。

「毎年この時期だけ手が回らない」「手続きの抜け漏れが不安」という場合は、社会保険労務士への代行依頼もご検討ください。




よくある質問


Q. 社会保険料はいつの給与から控除すればいいですか?

A. 社会保険料は「翌月徴収」が原則です。たとえば4月分の保険料は、5月に支払う給与から控除します(翌月末日が納付期限)。ただし、就業規則や慣行で当月徴収としている企業もあります。退職時は徴収のタイミングによって最後の給与から2か月分を控除するケースもあるため、自社のルールを明確にしておきましょう。



Q. 定時決定で決まった標準報酬月額は、いつの給与から反映しますか?

A. 9月分の保険料から適用されます。翌月徴収の企業では10月に支払う給与から控除額が変わります。従業員から「急に手取りが減った」という問い合わせが来やすい時期なので、事前の案内をおすすめします。



Q. 賞与を支払ったときの手続きを教えてください。

A. 賞与支払日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を日本年金機構へ提出します。賞与からも社会保険料と源泉所得税を控除します(雇用保険料も対象)。なお、年3回以下の賞与は標準賞与額の対象ですが、年4回以上支給される場合は報酬として標準報酬月額に算入される点に注意してください。



Q. 月の途中で入社した場合、社会保険料は日割りになりますか?

A. 社会保険料に日割りはありません。資格取得日が属する月から1か月分の保険料が発生します。たとえば4月20日入社でも、4月分の保険料は満額必要です。一方、退職の場合は資格喪失日(退職日の翌日)が属する月の前月分までが対象となります。



Q. 手続きの期限を過ぎてしまった場合はどうなりますか?

A. 速やかに提出してください。社会保険・雇用保険の資格取得届が遅れると、従業員が保険証を使えない、失業手当の手続きができないなど不利益が生じます。労働保険料や社会保険料の納付が遅れた場合は延滞金が発生することもあります。遅れが判明した時点で、管轄の年金事務所・ハローワーク・労働基準監督署に相談しましょう。




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この記事の監修者

大澤 直樹(特定社会保険労務士・AFP)


大澤労務管理事務所 代表。埼玉県川越市を拠点に、給与計算代行、就業規則の作成・改定、社会保険・労働保険の手続き、労務相談まで、中小企業の労務管理を幅広く支援しています。「めんどくさい」をまるっとサポートすることをモットーに、起業初期から成長期の企業に寄り添った実務支援を行っています。


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